大地と植物を育む管理

杜ノ匠ノでは形を整えるだけの管理ではなく、大地も植物も育まれていくような管理を心がけています。

 

「風の草刈り」は草を敵とせず、心地よく風を通していく手法。

お客様からも「草を抜かなくてもいいんですか!」と驚かれますが、「どうぞ草は抜かずに置いておいてください。」とお伝えしています。

草は大地にとって、とても大切な役割を担っています。防草シートを敷いたり、除草剤をまいたり、抜いてしまうことで地力は弱まり、大切にしていた木が枯れかかっているという相談もよくお受けします。

 

しかし、ただボーボーに生やすだけというわけではなく、「風の草刈り」をするのがポイント。ノコギリ鎌をつかい、風のなびくところで風を通すように刈っていきます。この風の草刈りを続けることで、1年目、2年目、3年目と大地が育まれ、生えてくる草の種類も変わってくるのです。

 

実例紹介

  • 京都府福知山市田野 自然観察公園の管理

2020年春から管理をさせて頂いております。笹が繁茂していた場所も、風の草刈りを続けることで背丈が落ち着いて来ました。

 

  • 京都府京北町 あうるの原っぱ

2017年より、ツクル森イベント前の2回ほど草刈りに入らせて頂いております。こちらは2018年に大地の再生講座が2回開催されました。雨の日は田んぼの沼地のようだった大地も、今では歩きやすく寝転べるほど気持ちよくなりました。

イネ科の多かった植生も年々変化し、柔らかく多様な草たちが生えてきています。

※写真はどれも作業前のものです

 

  • 大阪府箕面市 テニススクール 年間管理

初めて伺った時は、これでもかというほど蔦がびっしりと敷地全体を覆っていました。かつては山であった場所を造成し、住宅や商業施設が並ぶようになったニュータウンの一角。植物を沢山植えてくださっていたことが何よりの救いでしたが、斜面は乾燥し柔らかな草たちは生えることができず、そこを担うことができる強い草たちが繁茂している状況でした。

こちらでは風の草刈りに加えて、地下の風通し(点穴処置)の作業をさせて頂きました。

翌年の様子です。勢いはあるものの、前年よりもすこしコンパクトになってきたような印象でした。年間を通して風の草刈りを続けていきました。

その翌年、また一段と落ち着いて来ました。蔦を絶やすのが私たちの目的ではありません。大地が健全な状態になり、結果として蔦が落ち着いてくることを目指しています。すぐに目に見える答えを求めてしまいがちですが、「時間をかけること」の大切さをこちらの現場では感じています。

「やりすぎる」のが人の癖ですが、風の草刈りや風の剪定の基本は「やりすぎない」こと。カサカサだった斜面にも落ち葉が降り積もり、柔らかな草が生え始め、実生の苗も元気にのびのびと育ってきました。

 

街の中にある、森に囲まれたテニススクールは、なかなか珍しいのではないでしょうか。

今年度は講座形式でご参加いただきながらの管理をしていけたらと思っています。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。